屋上放尿事件
加福 正也
  正確な期日は、記憶にないが昭和39年の真夏の暑い日であったことだけは間違いない。トヨペットクラウングループはいつものとおり定時(4時)に先を争うようにタイムレコーダーを押し、昭和寮に帰ってきた。寮の俺の部屋は1階の109号室だったからまだましであったと思えるが4階の住民は天井が焼けて暑くてとてもしのぎ難かったろうと思う。寮にクーラが設置されたのはあれから何年後か知らないがよく我慢していたものだ。
A「暑いなー。銅座へ飲みに行くにしても早過ぎるし・・・・」
B「屋上でシャワーをかぶりながらビールを飲む案はどう?・・・・・」
C「OK!海パンに着替えて屋上に集合」
D「ビール注文してくるわ, いつもの3本で足りるかな」と公衆電話へ。
 こんな会話の後、海水パンツ姿の若者5,6人が昭和寮5棟の屋上に集合した。
入口にあった寮の売店で何故アルコールを販売していなかったのか?見習乙の未成年者がいたから建前上自粛していたのだろうが、もし俺が寮の管理人ならばビールを販売して、その利益で5棟に来客用のスウィートルームを作っていたと思う。(名案でしょ)
さて屋上でシャワーを浴びているとビール(サッポロジャイアンツ)が届き、すぐに「かんぱーい!!」毎日顔を合わせているのに今更何に乾杯だったのか?今日もビールを飲めることに乾杯!としておこう。暑くて、汗をかき喉が渇いていたのでビールはどんどんみんなの胃袋に吸収されていった。会話が弾みそしてビールも残り少なくなってきたとき、
A「小便してくるわ」と階段の方へ
B「4階のトイレへ行くの邪魔くさいからそこから飛ばせば?」とニヤニヤ
C「そっちはちょっとやばいぞ,洗濯物や布団に小便がかかるぞ」
D「どうせ飛ばすなら全員並んでこっちの方向サ,純心の寮から双眼鏡でこっちを覗い
ている子がいたりして・・・」
「よーし!」と数人が(全員ではなかったと記憶する)並んで純心女学院方向へ元気よく大きな放物線を描いた。その時下の方から『誰だーやめろー』との声。あわてて証拠物件(空き瓶等)を抱えて避難。被害者は誰であったのか不明のままだが、後々になって見習乙の人が怒っていたとの話を聞いた。我々と同期の見習乙は現民主党衆議院議員高木義明先生ほか優秀な人材がいたと思う。しかも我々より数日早く5棟に入寮したに拘わらず、後から入ってきたちょっと年上の我々が好き放題に騒ぐのに「やめてください」とも言えずじっと我慢の寮生活を送っていたのだろうかと思うと気の毒に思うこの頃である。
(この事件に参画したのはどなたでしょう?はっきりとは覚えていません。)