彼は福岡油圧機器製作所に配属され、1年後に長船に配属替えになりましたから、なじみのある方は少ないとおもいます。彼も皆さんに溶け込むのに苦労をしていました。彼の容貌はご存知のとうり、やくざも彼に一目置いていたし、彼も極道に一目おいておりました。
水虫だった彼は会社に下駄をはいて出勤し守衛さんと、おおもめにもめました、彼にいわすれば、下駄より気持ちのいい履物はないと、憤慨しておりましたが、守衛さんにはやくざに見えたのでしょう。守衛さんの気持ちもわかります。
彼は給料をもらうと、2日間はかえってきません。3日目に1升ビン2本を両手にかかえご帰還です。そのあとはその酒をチビチビ飲んで経済原論と漢詩を読んですごします。 飲み屋のおばちゃんと仲がよろしいんですが、絶対つけ飲みはしません。
私と1年半同室で過ごしましたが、喘息の私をきずかってどんな寒い日もベランダでタバコを吸っておりました。顔に似合わず真面目で義理堅い男でした。彼の誤解を解くことになるのかどうかわかりませんが、寄稿させていただきます。
