「いろは歌」には暗号が隠されていた!?

「いろは歌」は作者が不詳とされているが、柿本人麻呂や源高明ではないかとする説もある。中でも源高明は醍醐天皇の第十子で左大臣にまで上り詰めたが、藤原氏の策略にはまり、太宰府に左遷されて都に帰れずに亡くなった人である。そのような怨恨を残す作者が、「いろは歌」の中に暗号を隠して歌を詠んでいるのである。

 

もしかして冤罪?「咎無くて死す」

テキスト ボックス: いろはにほへと   ちりぬるをわか   よたれそつねな   らむうゐのおく   やまけふこえて   あさきゆめみし   ゑひもせす  「いろは歌」の古い表記にあるように、仮名を七文字ずつに区切った歌の、それぞれ一番最後に来る文字を縦に読むと「とかなくてしす」となり、「咎無くて死す」という意味が隠された暗号と考える説がある。

これはもう江戸時代には指摘されていた有名な話で、義太夫浄瑠璃『仮名手本忠臣蔵』の「仮名手本」とは、赤穂浪士四十七士をいろは仮名四十七文字になぞらえたものだが、実はこの「とがなくてしす」の暗号が当時広く知られていることを前提として「仮名手本」と付けられたのだ。すなわち赤穂浪士たちが「咎無くして死んだ」ことを意味するというものである 。

「とがなくてしす」の暗号

「とがなくてしす」をただの言葉の羅列と思うか、「咎無くて死す」と受け取るか、どちらが正解かは不明だが、もし作者がこのような素晴らしい歌を作れるような有能な人ならば、罪も無く自らが殺される事を、暗号によって後世に残そうと考えたとしても、なんの不思議もない。
源高明は 学問を好み、和歌にも優れ、勅撰和歌集に22首が採録されている歌人でもあったのだ。

「妻に伝えて!俺は無実の罪を着せられて死ぬ!」

テキスト ボックス: いろはにほへと   ちりぬるをわか   よたれそつねな   らむうゐのおく   やまけふこえて   あさきゆめみし   ゑひもせす  さらに驚くことに、「いろは歌」の仮名を七文字ずつ区切った歌の、それぞれ五文字目を縦に繋げて読むと「ほをつのこめ」となる。

これを漢字に直すと「本を津の小女」となり、「この本を津にいる私の妻へ届けてください。」という意味になる。暗号として「咎無くて死すということを書いたこの本を、津の小女へ届けてください」という意味の内容がセットになっているとしたら、信じたくなるのが人の心というものであろう。

 

「いろは歌」にロマンを感じよう!

日本人には、馴染みの深い「いろは歌」には、単なる仮名手習いの見本では収まりきらない、深い意味とミステリアスな魅力がある。 昔、実際にこの世を生きた人物が何らかの思いや目的を秘め、この「いろはにほへと」の歌を詠んだと考えると、とても不思議であると同時に、芸術的な魅力を感じざるを得ない。


 

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