2013年4月5日

◆ 蔵元日記【     最近の話題     】

先日、東京有楽町の外国人特派員クラブで、旭酒造の新商品などにつ いて記者発表を行いました。その内容について、少し裏側の個人的考 えも含めて記載いたします。

・「獺祭 磨き その先へ」の狙いとコンセプト
・獺祭 Bar23 について
・メルセデス・ベンツ・ファッション・ウィーク東京・
   オフィシャル・スポンサー
・本蔵建て直しについて

以上 4 点が要点でした。

まず、最初は「獺祭 磨きその先へ」の説明です。このお酒の特徴は 何と言っても国内価格が720 ml で3万円という価格に尽きると思い ます。このお酒を開発したきっかけは、近年海外輸出を活発化させて いる当社の体験が色濃く反映されています。

海外のマーケットで日本酒がワインと同様に戦っていこうとするとき、 高価格帯の日本酒がないというのは致命的です。現状の価格帯の商品 だけでは、ワインと比べて一段劣った飲み物として欧米のテーブルに 載らざるをえません。

このあたりを打破するために、かといって、ただマーケティング上の 要請だけで高価格をつける商品でなく、実際により高価格の獺祭とし ての価値を持つお酒として開発いたしました。

続いて、東京・京橋にオープンする「獺祭 Bar23 」について発表させ ていただきました。たった 16 席の小さなバーですが、実は今後パリ・ ニューヨークと出店していく計画を持っており、そのプロトタイプと しての性格を持つバーです。プロデュースをあの青柳の小山裕久さん にお願いしておりますので、酒肴も選り抜き。 是非お立ち寄りください。

http://tokyo-sg.com/shop/b1_15.html

三点目の話題は、メルセデス・ベンツ・ファッション・ウィーク東京 へのオフィシャル・スポンサーとして参加させていただくという件で す。つい最近の 3/17~23 に春のファッション・ウィークが開催されて おり、バックアップは経産省と外務省、冠スポンサーはメルセデス・ ベンツ、公式スポンサーとしては、現在、メイベリン・ニューヨーク とロレアル化粧品、海外輸送の DHL の三社です。 10 月開催のファッション・ウィークは弊社を入れて 4 社になるという 事です。

ご想像のとおり、私も最初声がかかったとき、身に余ると考えたんで すが、ここで断ると今後 10 年は日本酒業界に声はかからないだろうと 思い返したことが一つ。そして、東京がファッションの街として世界 に発信していく事は、今後、ニューヨークやパリと並んで上海などと 一線を画す都市になれるかどうかの分岐点で、山奥の酒蔵といえども 声がかかった時は役割を担うべき事と思い参加を決めました。

最後は、ここ数年の需要に対する供給の大幅な不足に対しての酒蔵の 改築計画です。具体的には、昨年度 151% 、今年度現在 158% (金額) で売上が伸びており、それに対応する生産設備の強化が急務となって おりました。

3 年前の 1 号蔵の完成、昨年の 2 号蔵の完成に続きまして、本蔵の立て 直しをこの夏から開始いたします。本蔵は計画では 12 階建て総面積 11,502.62 平方メートルで、完成後の旭酒造の生産能力は単独で 5760kl ( 3 万 2 千石)、 1 号蔵 2 号蔵と合わせて 9000kl ( 5 万石)の 能力を持ちます。

完成予想図はこちら
http://www.asahishuzo.ne.jp/data/image/img_office.jpg

この蔵は従来の 1 号蔵・ 2 号蔵同様、徹底的に酒造りに適した環境で熟 練した社員(年齢的には若造ばかりですが)による理想的な酒造りを 実現するための設備が整っており、さらなる獺祭の酒質の向上を目的 としています。

実は、今回の発表はどれをとっても今の日本酒業界を考えるとき、反 発も予想される刺激的な発表です。しかし、私どもにとって必然性の あるものばかりで、お客様にとっても大切なお話であり、公表させて いただきました。

こんなにいろいろな刺激的な話を公表できるようになっても、私たち はいつまでも、「山口の山奥の小さな酒蔵」であり、私たちにとって いつも、「あぁ、美味しい」というお客様の声がすべてであり、その ために努力し、それゆえにここまで成長させていただき、「獺祭」ら しくあり続けるための、今後の計画です。

また、これからも私たちは少しでも良い酒を、社会と共にある酒蔵、 目指して挑戦を続けていきます。しかし、おかしな時、厳しいお叱り の言葉お待ちしております。私どもにとって、お客様の厳しい目こそ、 成長への糧です。

 

 

2013年4月5日

桜井 博志 様

蔵元日記「最近の話題」を興味深く拝読させて戴きました。
何事にも積極的に取り組んで居られる桜井様の姿勢に共感を 覚えます。

ただ、何度も同じことを言うようですが、この環境はいつまでもは 続きません。
長崎県の軍艦島の廃屋のようなことにならないよう、常に先のことを 考えて置かれることが肝要だと思います。

長崎の獺祭ファン
檜原 勇多賀

 

2013年4月5日

ありがとうございます。

ご指摘、肝に銘じます。

  桜井博志