ハワイ島 (Hawaii Island)

 ニュージーランドのオークランドを飛び立ったエア・ニュージーランド航空のチャーター機は、翌朝早くオアフ島のホノルル国際空港に降り立った。ここで、ハイビスカスのレイの歓迎を受け、フレンドシップ機に乗り換えて、『ニュージーランド・ハワイ地熱調査団』の後半の目的地であるハワイ島に向かった。

 ハワイ島は、ハワイ諸島の中で最大の島で、島の面積は10,500平方キロメートル、人口は61,300人。南部にキラウエア、マウナ・ロアなどの雄大な火山を含むハワイ火山国立公園がある。中心都市はヒロ。そのヒロ市まで、約40分の飛行時間である。ヒロ市はハワイ島北東岸に位置する港湾都市で、人口は26,000人。砂糖・コーヒー・果物の輸出港でもあり、背後にハワイ国立公園を控えた観光地でもある。ハワイ島西岸部のコナで採れるコナ・コーヒーは味・香りとも最高のコーヒーである。そのまろやかな味と香りは、誰をも至福の境地に導いてくれる。果物は、パパイヤ・マンゴ・バナナ・パイナップル・ココナツなど豊富で、特にパパイヤは島の至る所にあって、断り無しに取って食べても怒られない。パパイヤの採り方が面白い。パパイヤの実をどうやって採るかというと、便所掃除に使う柄の先にゴムの吸盤の付いたあの道具を使うのだ。ヒロには日系人が沢山居るが、電気料金や水道料金などが高く、暮らしはそんなに楽ではないそうだ。

 空港からバスに乗り換え、ヒロの市街地を抜けてヒロ市郊外にある”虹の滝”(Rainbow Falls)を見物する。残念ながら今は水量が少ないとのことで、虹は見ることが出来なかった。

 ヒロの南にパホア(Pahoa)というところがあって、ここに"Lava Tree State Park"と呼ばれる州立公園がある。"Lava Tree"というのは、溶岩流がウィリウィリ(wiliwili)という堅い木にぶつかって木の周りが冷え固まり、そのあと中の木が燃え尽きて空洞になったもので、煙突のように立っている。これらのLava Treeは、1790年、1840年と1960年の3回の噴火の際、溶岩が流れてきて出来たものである。

パホアの近くにプナ(Puna)地熱発電所がある。ここには3,000キロワットのタービン発電機が設置されていて、地熱を利用した発電をしている。

 プナからハワイ島の南海岸を西に少し行ったところに、”黒砂海岸”(Black Sand Beach)と呼ばれる美しい海岸がある。ここは、流れてきた溶岩が海水で急冷されて黒い細かい粒になって出来た海岸で、黒い砂浜と浜に打ち砕ける波の白さとが強烈なコントラストを造り出して美しい。しかし最近、海岸が2メートルも沈下し、黒砂海岸の幅が狭くなってしまった。波に洗われているココナツの木の切り株が、その辺の事情を物語っている。