ニュージーランド (New Zealand)

シドニーを経由してオークランド (Auckland)国際空港に降り立ったのは、1979年4月のことであった。 このときがニュージーランド最初の訪問で、その後、同じ年の11月と、1985年8月と、合計3回訪れている。

成田からシドニーまでは、オーストラリアの航空会社カンタス ( Quantas )のDC8であった。 窮屈な座席に長時間拘束されて、うんざりしたのを覚えている。
  オークランドの空港には、同僚のF氏とU氏、それに現地人が一人迎えに来ていた。
「やァ、どうも」
「やァ、お疲れさん」
短い挨拶の後、その現地人の運転する黒っぽい小さな乗用車に詰め込まれて、空港を後にした。
「いま、運転しているのは、お抱え運転手かい?」
私がU氏に尋ねた。
「エッ!?」
と同時に、F氏とU氏がいきなり笑い出した。
「彼はテリー・ローズさんと言って、三菱商事のれっきとした正社員だヨ」
U氏が説明した。 余計なことに、U氏がテリー・ローズ氏に、
「Mr.Hibaraがあなたのことを『運転手か?』と聞いたヨ」
と英語で告げ口をしている。

車は、高速道路を快適に飛ばしていたが、そのうち、左手に銀色に輝く鋼製の大きな橋が見えてきた。 ハーバー・ブリッジ ( Harvor Bridge)である。それから暫く、緑の木々に囲まれた住宅街を走っていたが、やがて、近代的なビルの林立する街中に出てきた。 オークランドのオフィス街である。 オフィス街を突っ切り、海岸通りに出たところで、車は一軒のホテルの中に入っていった。 そこが、我々の泊まるトラベロッジ(Travelodge)であった。