高杉晋作の名言
名言@
三千世界の鴉(からす)を殺し主と朝寝がしてみたい
【意味】 本当に好きな主「ひと」はあなただけ。私は 3 千の鴉を殺す程、起請を書いて罰が当たっても構わない。貴方と一緒にいたいのよ。
これは晋作が作った都都逸として有名ですが、熊野神社の起請(きしょう)が関係しています。起請は神様との約束の証文で、破ると熊野神社の鴉が 3 羽死に、天罰が下るというものです。
昔、遊女と客の間に「年季が明けたら一緒になります」と約束する証文(起請)を書くのが流行りました。しかしこの証文は多数の客に書くのが普通だったのです。ですので、この詩は 「本当に好きな人はあなただけ」 という艶っぽい遊女の思いを表しているのですね。
余談ですが古典落語でも「三枚起請」(遊女と 3 人の客の話)という演目があります。
名言A
聞いて恐ろし、見ていやらしい、添うてうれしや奇兵隊
【意味】 聞いた名前や見た目は恐ろしそうだけれど、頼もしく頼りになるのが奇兵隊の面々だ。
自らが作った奇兵隊を城下の民衆に宣伝するための応援歌です(都都逸)。
名言B
戦いは一日早ければ一日の利益がある。まず飛びだすことだ。思案はそれからでいい。
【意味】 まずは、一歩踏み出すことがなければ勝てるものも勝てない。くよくよ考えるのは踏み出した後でもかまわないから、まずは人よりも 1 日でも早くやりだすことが正解である。
名言C
艱難を共にすべく、富貴を共にすべからず
【意味】 苦楽は仲間や友と分かち合うことができるけれど、ひとたび上に立ち富や権力を手に入れると人は自分を見失うもので,仲間との間にもヒビが入る。なので自分は常に一兵として仲間と同じ立場でいたい。
元治の内乱後に、藩主から要職の話があった時の言葉として残されています。
名言D
過ちを改めれば、それは過ちではないのだ。
【意味】 間違いを犯しても後悔して犯した過ちを悔い改めれば、それは過ちとは言わない。
名言E
今さらに なにをかいわむ 遅桜 故郷の風に 散るぞうれしき 先生を 慕うてようやく 野山獄
【意味】 野山獄は刑期があってないようなもの、投獄後切腹や自刃で死んでしまうかもしれない。志半ばで投獄された不運を嘆いてみたが、ようやく師、吉田松陰の影を踏めた気がする
来島又兵衛の説得失敗後、脱藩の罪で帰郷して野山獄に投獄された時に書いた「投獄文記」にあります。
名言F
是(これ)より長州男児の肝っ玉を御目に掛け申す。
【意味】 これより長州男児の腕前をとくとご覧にいれます。
八月十八日の政変 において、追放され長州に落ち延びた五卿は功山寺にいました。まさに功山寺挙兵の時です。五卿への出陣の挨拶時にした決意表明です。
名言G
翼あらば 千里の外も飛めぐり よろづの国を 見んとしぞおもふ
【意味】 自分に翼があれば、翼を広げて飛び回り様々な国を見てまわりたい。
晋作が上海渡航する 3 年ほど前に書いた手紙の末文にあった和歌です。アメリカへの渡航が実現しなかった師、松陰の思いを引き継ぎ、敵である異国を知る事こそが大事と海外視察を熱望していました。
名言H
まけて退く人をよわしと思うなよ。知恵の力の強きゆえなり
【意味】 負けて退いていく人間を弱いと見くびってはいけない。深い考えがあり知恵があるからこそ、無謀な戦いを避けているのかもしれない。
名言I
人間、窮地におちいるのはよい。意外な方向に活路が見いだせるからだ。しかし死地に陥ればそれでおしまいだ。だから俺は困ったの一言は吐かない。
【意味】 どんな時でも思案を尽くす。それでも窮地に陥ってしまうこともある。ここで「困った」と言ってしまったらおしまい。人間は困ったと言ってしまったら思考が止まり感情に流され、活路を見出すことができなくなる。だから私は決して困ったと言わない。
人は窮地になればなるほど、思考を停止させなければ奇策が生まれます。「ピンチはチャンス」という事です。晋作は父から武士は困ったとは決して言ってはいけないと言われて育ったそうです。