宮浜温泉石亭(1)

 

宮浜温泉の「石亭」に行ってきました。 23年前とは趣が随分変わっており、新しい部屋が沢山建っているのに先ず驚きました。 宿の周囲も人家が建ち並び、賑やかになっています。

今回は4人のグループで旅行しました。宿に入る前に久しぶりに安芸の宮島を散策することにし、「石亭」さんから言われたとおり宮島口の穴子めしの店「うえの」さんに荷物を預けてJRフェリーで宮島に渡りました。フェリーは15分間隔で出ており、所要時間もたったの10分と便利になっています。

宮島で昼食を摂ることになり、宿の夕食に出てくる「穴子」と「かき」を避けると残るのは「お好み焼き」しかなく、1軒のお好み焼き屋に入りましたが、これは失敗でした。やはり広島のお好み焼きと比べると水分が多くダメでした。

もみじ谷まで行って引き返し、フェリーに乗る前に「石亭」さんに電話を入れて宮島口の桟橋までマイクロバスで迎えに来ていただきました。宮島口から宿までは、国道2号線を西進して所要時間は約20分です。

宿に着く5分前にマイクロバスから宿に連絡を入れられ、宿に到着すると、大勢の従業員の方のお出迎えを受けました。玄関を入って直ぐ右手にフロントがあり、正面突き当たりが大浴場になっています。客室へはフロントを通り過ぎたところから左に曲がって、突き当たりにあるラウンジのまえから左右に分かれる通路を通って行きます。2階の部屋へは、フロントの前の階段を上がって行くようになっています。

まず、ラウンジで温かい焙じ茶を頂きながら宿泊部屋の準備が整うまで暫く待ちました。既にチェックインの開始時間15時30分は廻っていたのですが、ここは昼の食事のみの客も受け入れているためか、チェックイン15:30、チェックアウト10:00と、普通の宿より滞在時間が短くなっています。

ラウンジから見下ろす庭園とその先の海と宮島の眺めは素晴らしく、玄関を入ってラウンジまでの邸内の照明が抑えられて暗いため、なおさらラウンジからの明るい景色が鮮烈でした。 庭にはチーチャンさんが書かれていたとおり、枝垂れ梅が満開で、ピンクの花を添えていました。他には、桃の花とおぼしき花が咲いていました。

今回泊まった部屋は、右手一番奥の離れ「大観」の棟で、玄関の間から中に入ると12畳の和室が二間にそれらを取り囲むように広い畳敷きの廻り廊下があって、そのまた外に手摺り付の濡れ縁があるという「石亭」さんで最も広い離れでした。トイレも洋式と和式の二つのトイレがあり、温泉ではありませんが、檜の内風呂が付いています。 廻り廊下と濡れ縁の間は目測で4mx2mはあろうかと思われる大きなガラスが数枚はめ込まれていて、庭園と海は勿論のこと、母屋越に裏の岩山まで観ることが出来ます。ここからの眺めは、ラウンジからの眺めとはまた変わって素晴らしいものがあります。 廻り廊下には、座り心地の良い大きな椅子が4個と革張りのどでかいロッキングチェアが置かれていて、ゆっくり景色を愉しめるようになっています。 また床の間の横に大きなはめ殺しの障子があって、この障子に松の枝が影絵のように映し出されるという演出も客を楽しませてくれます。影絵といえば、この宿の照明には和紙に影絵を映し出すものが好んで使われており、大浴場の脱衣所の照明にも大凧が使われていました。

この日は月曜日というのに満室で、他の部屋を覗くことは出来ませんでしたが、宿泊人数が4人以上であればこの「大観」の棟が絶対お薦めです。まるで殿様やお姫様になったような気分を味わえます。

大浴場へは、いま来た道を引き返します。通路は漆黒の大柄のタイル敷きで、ところどころに配置されている燭台の明かりが映えるよう考慮されています。ただ、足元が真っ黒なので、途中の段差が判りづらく、注意しないと踏み外しそうです。 フロントの前から左に曲がって突き当たりに大浴場が二つあり、「殿方」と「姫方」に分かれています。この日は向かって右側が「殿方」で、畳敷き(!)の脱衣所から浴場にはいると、二つの檜風呂があり、浴場の外に石組みの露天風呂があります。内湯・露天風呂とも小振りで、この規模の宿にしては小さすぎると思われますが、男性客が少ないせいか、いつ行っても空いていました。もう一つの大浴場の方は、露天風呂が二つもあり広いようですが、残念ながら、翌日の朝9時過ぎまで一度も浴場の入れ替わりが行われませんでした。多分、女性客の数が圧倒的に多かったためでしょう。 温泉は25度のラドン泉を沸かしているものですが、柔らかい泉質で良く温まります。泉質は単純弱放射能温泉です。 露天風呂には梅の花びらが浮いていて風情がありますが、篝火の煤まで浮かんでいて、うっかり肌に擦り付けてしまい、身体をもう一度洗い直す羽目になりました。

 

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