草津温泉ての字屋 ( 1 )

 

上野13時発の新特急「草津5号」に乗って「長野原草津口」に着いたのが15時30分。一刻も早く草津温泉に辿り着こうとバスの代わりにタクシーを利用したところ、5000円の料金にびっくり仰天!草津温泉に到着したのは、もう16時近くでした。

柏井先生も書かれていた通り、草津は本当に遠かったです。

目指す「ての字屋」は「湯畑」の直ぐ近くで、温泉街のド真ん中に位置します。そのため、敷地はそんなに広くなく、むしろ小ぢんまりした3階建ての温泉旅館といった感じです。

しかし、一旦中に入ると、そこは流石草津温泉草分けの老舗旅館、落ち着いた雰囲気の中に格調の高さを感じさせます。

玄関を入って広いたたきの左手に帳場、正面右手に天然岩風呂への入り口、正面左手にロビーを経由して客室に向かう階段があります。

その15段の階段を上ってロビーへ。ロビーにはソファーが2組置かれていて、ここでチェックインの手続きをします。

ロビーの右手には表通りに面した2階の客室「わたすげ」、「いわかがみ」と、裏手に面した「こまくさ」に通じる階段があり、ロビーの左手には奥の2階と3階の客室に通じる廊下があります。また、ロビーに飾り戸棚が置かれていて、中には草津温泉を紹介する資料や当日使用される女将がデザインした食器類が展示されています。

このガラス戸棚の中に6月3日に発売されたばかりの旅行作家の会編「旅行作家ひいきの宿」という本が展示販売されていたので、早速購入しました。237ページの中に114軒の名宿がカラー写真入りで紹介されていて、定価1,000円のところを800円で購入できました。勿論、「ての字屋」も載っています。

仲居さんの案内で左手の控えめに照明された和風の廊下を奥へ進みます。ここまでは良かったのですが、この後が大変でした。10段の階段を2回上り、左に折れて右に折れて、さらに10段の階段を上らないと奥の部屋に辿り着けません。しかも、可なり傾斜の急な階段です。これは多分「ての字屋」の裏が山肌になっており、その傾斜を利用して建てられているためだと思います。それにしても、この30段の階段はかなりきついです。毎朝6キロの速歩で鍛えている私でさえ息が切れました。重たい荷物を持って案内してくださっている仲居さんはハァーハァーと息を切らしており、ちょっと気の毒でした。3階の客室に行くには、さらに10段の階段を上らなければなりません。ここはエレベータかエスカレータが欲しいところです。

ロビーの左手の廊下の先の階段を10段上ったところの左手にもう一つの浴場「たまゆらの湯」があります。

30段の階段を上りきると、左右に廊下があり、正面が朝食を頂く食事処の「懐石」、廊下を左に進むと、左手に今回宿泊した「しらかば」の間、突き当たりに「しゃくなげ」の間、

さらに右に折れて左手に「りんどう」の間があります。

廊下を右に進むと、突き当たって右手に3階の客室への10段の階段があり、それを上ると、表通り側に「浅間」、「青葉」、「白根」、裏山側に「十勝」、「霧島」、「阿蘇」と6つの客室が並んでいます。

これだけ階段が多いと、足の不自由な方にはちょっと大変です。ロビー右手の2階の客室「わたすげ」、「いわかがみ」、「こまくさ」が比較的階段の少ない客室ですが、それでも15段と10段の階段を上らなければなりません。

今回宿泊した奥の2階の「しらかば」の部屋は、14畳の和室に畳廊下が付いた部屋で、畳廊下の右端に小さな洗面台と、これも小さなトイレが付いていますが、部屋付きの風呂はありません。

庭は奥行き2メートル程度の小石を散らした土の無い庭で、植栽はすべて大きな植木鉢ですが、それでも落ち着いた良い雰囲気が出ていました。ただ、表通りに面しているため、庭は背の高い樹脂製の竹壁で覆われていました。

また、縁側には濡れ縁もあるのですが、破れたビニールのカバーが被さったままで、これは艶消しでした。

部屋に案内された後、仲居さんは「お茶をお持ちします」と言って直ぐ部屋を出て行きました。

暫くして、「失礼します」と言って入ってきたのはこの宿の若女将の立川ふさ子さん。

テレビで拝見していたので直ぐわかりました。女将に立ててもらった抹茶と甘さを抑えた落雁のお茶請けで一息入れると、旅の疲れもスーっと消えてゆく感じ。

宿に来る途中でタクシーの運転手から「湯もみショー」の最終は16:35からと聞いていたので、先ず「湯もみショー」見物に出掛けることにしました。

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