水上温泉仙寿庵 ( 1 )

 

草津温泉から「仙寿庵」の水上温泉へは、JR長野原草津口から普通電車を利用し渋川で乗り換えて2時間半の道程です。

水上駅からタクシーで約10分で目指す「別邸 仙寿庵」に到着しました。

車が大きな構えの門の前に停車すると、待ち構えていたかのように宿の男性従業員の方が現れ、明るく感じの良いアプローチを玄関まで案内してくださいました。

玄関の間口は意識的に狭く造られていて、中に足を入れると広い空間が現れ、靴を脱いでまた狭く暗い玄関の間を通って右に曲がり、ここで畳表が張られたスリッパに履き替えて左に曲がると、そこにまたまた広い視界が開けて、明るいロビーに入ります。

空間が狭くなったり広くなったりするたびに「ウァーッ」という感動が沸き起こり、客をドキドキワクワクさせるその構成は見事と言わざるを得ません。

ロビーから客室へ向かう通路の緩やかにカーブした高さ8メートルの総ガラス張りの曲面壁を核として、宿の建物全体が近代建築の妙と技で満ちています。

客室は洋室1、和洋室2、和室15 ( 3タイプ ) の18室で、全室露天風呂付きです。

客室の配置は、1階が りんどう・さざんか・すいれん・あやめ・こでまり・やまぶき・しゃくなげ の7室、2階が 静月・風月・明月・秋月・草月・松月・翠月 の7室、3階が 舞雪・淡雪・楽雪・光雪 の4室です。

1階の部屋の名前は、宿の庭を散策してみると、そこに咲く花の名前が付けられていることが判ります。

今回泊まった部屋は3階の「光雪」でしたが、エレベータが設置されているので階段はまったく使う必要はありません。

宿の全体配置は、ロビーから谷川岳の方角に向かって奥に緩やかに左にカーブしながら土地も緩やかに高くなっており、最も谷川岳に近い奥の3階の「光雪」の部屋からは谷川岳を木立に邪魔されずに望むことが出来ます。

他の部屋も部屋の配置が雁行配置になっているので、どの部屋からも谷川岳を望むことが出来ますが、立ち木が邪魔になるのではないかと思われます。

「光雪」の部屋は、2重のドアを開けて入ると3畳の玄関の間があり、正面左手にトイレ、右手に洗面所、3畳の間の右手に12.5畳の和室、和室の正面に2面が総ガラス張りの板の間、和室の左手にシャワー室と露天風呂があります。

露天風呂へは、洗面所からシャワー室を通り抜けて入ることになります。露天風呂は、屋根付きで、4人一緒にでも入れるくらいの広さがあり、温度計が付いていて、湯温は常に40度でした。

 

露天風呂に浸かって新緑真っ盛りの立ち木越しに谷川岳を眺め、目を下にやると谷川のせせらぎがその心地よい音と一緒に目と耳を愉しませてくれます。

 

谷川岳には、その谷あいに沿って何条かの真っ白い雪が残っていました。

 

ほとんど非の打ち所の無い「仙寿庵」ですが、一つだけ設計ミスを発見しました。

それは部屋の洋服掛けの高さで、ズボンを吊るすだけの高さが無いのです。しかも、洋服掛けの下は完全な空間になっており、何故下に空間を造ったのか理解に苦しみます。

これは以前どなたかが同じ指摘をされていました。

 

浴衣(2枚ずつ用意されています)に着替えて、先ずは大浴場へ。

大浴場は1階のロビーに向かう曲面通路の途中左手にあり、2つの大浴場が並んでいて、男女入れ替え制になっています。

この2つの大浴場は殆ど同じ造りで、違うのは内湯が石組みと木桶造りなのと、サウナがミストサウナと塩サウナの違いです。

大浴場に入るときは、スリッパを殺菌灯の付いたスリッパ入れに入れます。

帰るときには殺菌された上に、藤吉郎の懐のように暖められています。

入口に宿泊客が脱ぎ捨てたスリッパが無いというこのシステムは、なかなか良いアイデアだと思いました。

露天風呂は谷川渓谷の直ぐそばにあり、渓谷の瀬音を聞きながら至福のときを過ごせます。

泉質は弱アルカリ性で、無色無臭に近く、草津温泉の後ではちょっと物足りない感じがしましたが、肌に優しい泉質です。

内湯の洗い場に、我が家で使っているのと同じ「檜の森」ブランドの浴剤が置かれていました。

全客室に露天風呂が付いているので、大浴場では一度も他の宿泊客に会いませんでした。

 

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