高杉晋作

彼がいなかったら、今の日本は無い・・・と私は信じている。 馬関戦争の講和談判で、四か国側からの彦島租借の申入れを高杉晋作扮する講和使節宍戸刑馬が断固として拒否し得ていなかったら、独り功山寺に決起して幕府に恭順を誓う萩の俗論党政府を打倒していなかったら、そして幕府軍相手の大島沖海戦や小倉口海戦での高杉晋作の勲功第一の活躍が無かったら・・・日本の歴史は大きく変わっていたであろうことは明白である。

高杉晋作は酒をこよなく愛した。 夜な夜な愛人おうのを侍らせ、組み立て式の携帯三味線を弾きながら、 〜 三千世界の鴉を殺し 主と朝寝がしてみたい 〜 〜わしとお前は焼山かづら 裏は切れても根は切れぬ〜 即興でそんな小唄風の歌を口ずさみながら酒を飲んだ。

しかし、晋作は酒や女におぼれていたのではない。 彼らは常に刺客に追われ、今日あって明日無き運命の岐路に立っていたのだ。 彼らは酒を借りて勇を鼓したり、危難を逃れて自祝し、殉難の同志を弔いもした。 このように、明治維新の革命に果たした酒の功績は大きい。

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